日々

生活とその周辺

サルデーニャ島 バケーション教室配属

医学部医学科バカンス学専攻所属

 

17.

朝からこれまでやってきた実験のデータの整理をする。PhDに「それで、今週末の予定は決めたの?」ときかれ、アルゲーロに土曜日宿とれたよーとバンザイしたら、「Noooooooooooo! 土曜日だけ?移動時間で終わってしまう!」とラボのみなさまから大ブーイングをうける。イタリア人の休日にかける思いが強すぎて、他人にまでこんなに厳しいなんて。教授直々に金曜は来なくてよし!とお達しがあり、メンバー総出で検索をかけてくれ、何時の電車で行って、何時のバスで帰る、ここに泊まる、みたいなツアーを組んでもらった。わたしはGrazieと言ってニコニコしながら、お金払っただけ。ということで以下のような感じで明日から週末ライフ楽しんできますー。パソコンは重いからもっていかないので、感想はしばらくおやすみにし、帰宅後に文章まとめます。ちなみに一人旅です。果たして順調にいくのか?では、よい週末を。

金曜 Cagliari→Macomer→Bosa 

土曜 Bosa→Alghero 

日曜 Alghero→Sassari→Cagliari

 そして夕食は昨日の残りのピザ四分の一。もう四分の一は昼ご飯だった。当分ピザは…いいなかな…。。

 

18.

さてさて弾丸サルデーニャ島トリップも終焉を迎え、穏やかな心持でパソコンに向かっております。以下は旅のメモです。

カリアリ駅出発。朝ご飯にドーナッツを購入。

・途中から乗り場が変更したため、ちょっと動揺したものの無事乗車完了。基本的に駅の切符改札口がないので、構内に置いてある打刻機に刻印し、乗車後駅員さんがチケット拝見にまわる。つまり駅員さんに見つからない限りタダ乗りが可能。そのためか、この旅で二回ぐらい無賃乗車の現場をみかけた。行きの車内では駅員さんをみた瞬間席を離れて下車し、別の機会では拳銃を脇に抱えた駅員さんが二人して証明書の提出を求め、罰金の徴収をしていた。犯人はどちらも肌の黒い、おそらく移民。サルデーニャでも移民、特に不法滞在者は大変問題になっている。彼らは教育も社会保障も受けられないため、「まともな」仕事にありつけない。露店でパチモンのカバンやサングラスを売ったり、スーパー前で物乞いをしたり、郊外の空き地で売春をしているところに幾度か遭遇した。教育を受けさせ仕事をする機会を与えようという動きもあるみたいだけれど、もともと少ない職が移民にとって代わられては困るという人や、さらに移民・不法滞在者流入が激しくなり問題が大きくなるという意見があるみたいだ。教科書の移民問題そのものという感じで真新しい情報はないけれど、普段の医学生生活ではあまり考えさせられることがないので、帰国して友人とシェアしたい経験だと思った。

・macomer駅に到着。ここからバス乗り換えで切符が必要なものの、窓口に誰もいない…。うろうろしていると駅の外でしゃべりまくっていたおばちゃんが緩慢に戻ってくる。仕事してくれ。しかし、バス乗り場はここからだよ!と案内してくれたりとてもいい人でした。あと待合所の建築センスのよさね。

・運転手さんがお茶をしばいていたため、10分遅れでバス出発。特に文句を言う乗客なし。本当にイタリアはこれだからもう。生きやすそうな社会だ。

・Bosa着。途中から乗客がわたし一人になって心細かった。採算取れているのかこの会社。

・とても気の抜けた街。心なしか広場で流れている音楽も通常よりテンポが遅いような。

・歩き回っているとチェックイン時間になり、宿に向かう。しかしオーナーおらず扉開かず。ここでもやられるのか!と肩を落とし、10分待ったものの来る気配はなく、とぼとぼ再び散策を始め10分後に戻ってくると、Ciao!!と歓待を受ける。イタリア人らしく文句は言わない。テラスのある素敵な部屋に通されたしね。

・荷物を置いて猫たちに挨拶しながら、ここの名所である教会へ。階段がすごい。坂道の多い街って好きだな。

ジェラートを食べ、スーパーで総菜とビールを買ってテラスへ。日が暮れていくのを眺める。

・さて朝ボーザからのバスにあっさり乗り、あっさりアルゲーロ着。

・海の見える街だ!建物は古いけれど統一感があって、空と海の青さとのコントラストが美しい。都市計画の人わかっているわ。

・何気なく路地を曲がると、ふいに海があらわれたりして楽しい。散策がはかどる。海辺のリゾート街素敵。漁港じゃない華やかさと落ち着きがある。

・宿着。ここも素朴でまたよし。ベッドサイドにロビンソークルーソー

・ちょっと遠くにある名勝地へ。だいぶ高いところから壁沿いの階段を一気におりなければならない。景色がよかったから、高所恐怖症兼運動不足のわたしにも楽しめた。足ガクガクだったけど。ゴールの洞窟でしばし涼んでから再び地上を目指し来た道を登る。

・夕暮れ時の景色も最高。ベンチを陣取り、テイクアウトしたピザを食べる。

 

19.

・穏やかに旅程が終了していくので、このままカリアリに戻れるものだと信じて疑わず、通過点のサッサリへ。さて電車はもう到着しているかなと駅をのぞきにいくと、どうも人の気配がしない。どこからか、ぬっとおじさんが現れ「ストライキ」と告げられる。あきらめきれず、質問するわたし。しかし「To Cagliari, Train? 」「No」「Bus?」「No」「Train at night?」「No」とのこと。やりやがったTrainitalia!肩を落とすわたしの後から駅に入ってきたスーツケースを抱えた女性は、カッツオ!とののしりながら荷物を放り投げていた。そ、そんな怒らんでも。しかたなくカフェに入ってwifiをゲットし先生に帰れんくなったと連絡し、宿を探す。ストライキ情報を検索すると四日ほど前から今日の電車がすべてとまるとバッチリ記載されていた。今度からちゃんと確認しよう…。

・とった宿はとてもいいところ。オーナーさんも気さくな人でおばあちゃん家に泊まりに来た安心感と居心地のよさ。英語通じないけど。日曜はほとんどのお店と見どころが閉まっているため、午後をテラスで過ごすことにする。ビールもプレゼントしてくれた。やけ酒だ。イタリア鉄道に対するムカつきが食べ物にまで波及し、今日は絶対にイタリア料理を食べたくなかったから、ギリシャ料理を選択。日没を見送り、各家の照明が徐々につきはじめ、夜の生活音が鳴りだすのをきく。

・ふて寝の翌日、ドキドキしながらgoogle mapをひらくと遅延の表示が!絶望!とにかく今日は絶対にカリアリに帰るんだという強い気持ちで、万一のためのバスで帰るルートも調べて宿を出発。望みは捨ててはならないと、駅に向かう。そしたら駅方向から荷物を抱えた人々が出てくるではないか!これはいけるかもしれないと急ぎ足で向かうと、ちゃんと運行している!!ありがとう!!ありがとう(googleだましやがったな)!!

・無事チケットの購入が終わって感無量でチケットの写真をとった。

カリアリまで乗り換えなしで到着。かえってこれたよ…。勝利酒をする。でもどうやらストレスか朝飲んだ常温で置かれた牛乳のせいで、ここにきてお腹の調子が急激に悪化するはめに。スピリッツなんて飲んで胃粘膜傷つけている場合じゃなかった。

・バカンスシーズンの到来を告げるかのように、カリアリの街は人であふれていた。

・本日の夕食はペペロンチーノでした。わたしの胃粘膜…。

 

 20.

朝からラボへ行き、待機を命じられたのでこれまで溜まっていた日数分の日記を書く。もはやすることがないらしい。みんなバカンスに向けて研究おさめをしているから、日を追うごとに課題は少なくなっている。大人になっても一か月ぐらい休めるのって本当にいいよなあ。ラボにいた学部生の子も今日からバカンスらしく、朝ちょろっと作業した後、元気に去っていった。去り際に、イタリア流の挨拶(ほっぺをくっつけてキスをする。フランスのビズみたいな)をわたしにもされて戸惑う。あと半年こっちにいれたら堂々とできそうな気もする。

普段生理学を教えているわたしの担当の先生は今日三人の学生の口頭試験をしており、その出来の悪さに頭を抱えていた。同僚に愚痴をいいながら悪態をつきまくっていて不機嫌度Maxだった。こちらの学生は0点~30点(18点以上で合格)で評価され、今日は18点が一人で、残り二人はそれ未満だったらしい。き、厳しい。

昼ご飯を終えたあとはみんなで会議室のような部屋へ。ドアをあけると20名ほどの教授陣が勢ぞろいしているではないか…。何事かわからないまま、勧められるがままにお菓子を食べ、日本に関する質問(富士山登ったことあるか、最近の日本の猛暑についてどう思うか、日本天災多いよね?、福島原発についてどう考えているか、日本の休暇事情など)に必死に答えているとおひらきとなる。あとできいてみたら、わたしのラボの教授の誕生日会だったそうだ。はよ言うてくれ。明日ハッピーバースデー言わなきゃ。

腹痛がピークに達したので、街へでかけるのをあきらめておとなしく家で昼寝をする。今日の夕食はリゾット。前回の米料理よりはましになったものの、味に奥行きがない。

 

21.

昨晩寝ながらうなっていたらしい。原因不明の腹痛といい、気づかないうちにストレスたまっているのかな?しばしば学校に遅刻していくわたしが、毎日ちゃんと時間通り起床してお弁当作って定時のバスに乗っているからか?でも昨日昼寝をしたおかげで、あるいはリゾットを食べたおかげで、ちょっとお腹が調子を戻しつつある。

 今日は大学付属の博物館へ。2時間ぐらいかけてさほど大きくない展示をひとつひとつ丁寧に解説してもらう。サルデーニャ島の伝統衣装とか、昔使っていた粉ひきとか、ミイラとか。たぶん一人で行っていたら(解説もなにも書いてないし)30分も滞在しなかった。ついてきてくれたPhDはあからさまに「じゃべり過ぎやわ」とうんざり顔。しかし、運が悪いことにわたしは博物館大好き人間だったから、あれは?これは?と興味の赴くままに聞きまくり長い話をさらに長くし、PhDのみならず他のメンバーも「はよ終われ」顔にしてしまった。ミイラの出現した地域では、ちびっ子が悪いことをすると、ミイラのところにつれていくよ!と脅すらしい。地元感ある話だなあ。

 大学が終わると、文具店へ行き最終日に渡す餞別用の画用紙を買う。鶴でも折ろうかなと考えている。硬い画用紙しかなかったから、ちゃんと折れるのかすごく心配だけど。強度があるから長持ちすると考えておこう。その後はジェラートカリアリのアイスは本当においしい。人工甘味料に頼らず、材料混ぜて作っている味がする。そして宿に戻ってだらだら。今日は買い出しに行こうかという話をしていたが、めんどくさくなり、冷蔵庫の残りものレシピになった。名前も分類もない。パスタは(質的に)茹ですぎてしまった。

 

22.

 終了書を書いてねと先生に伝えるだけが今日の作業だった。同期の子が今日ラボお休みなんですーと何気なく伝えたら、「あ、ごめんね、じゃあ、あなたもカリアリで遊んできて」と伝えられる。今日気合い入れてお弁当作ったんだけどなあ。ということでカリアリ市内へ。蝋でできた解剖学標本を観察する。めっちゃよくできてる!解剖学試験のときにくるくる回して使いたかった。景色の良いところを探してお弁当タイム。Wifiがないからgoogle mapで乗り換え検索できず、ちょっと迷いながらバス停を探し、行先不明だけどちょうど来たバスにえいや!と乗る。なんとか街中に出たのだけど、バスの運転手さんの運転が荒すぎて、乗車中絶えず手すりにしがみついていた。そしてカリアリで一番好きなジェラッテリアで一番好きなピスタッキオ味を。幸せ。

 しばし休憩してから浜辺を歩いて目的地の教会へ。暑い。階段多い。営業時間書いてなくて不安だったけど、開いていた。内装は新しくきらびやか。どうやらこっちが増築された部分らしく、隣の少し小さいほうの元の教会部分はもっと質素で年季が入っていた。外気温の激しさに対して、教会のひんやりとした感じが心地よく、アイスを入れたお腹も満足げで、ついうたた寝をしてしまう。次に意識が戻った瞬間には午後のミサで訪れた人々に囲まれていた。そそくさと外にでる。帰りは近距離を横着をしてバスに乗ると、バカンス客ですし詰めでカリアリ初の満員バスを経験した。ここは京都か。歩くより疲れたかも。

 夜は宿のオーナーに誘われて夜のカリアリを探索。車で出かけたのだけど、この日は街中のあらゆる店が深夜まで営業していたり、特別なショーがあったりして真夜中をこえても人でごった返していた。そのため、車をどこにも停めることができず街からだいぶ遠いところから歩く羽目になった。他の車もカリカリしていて、よくクラクションの音が響いていた。カリアリでは一生運転できない。たぶん夕ご飯食べるんだろうな、と予想はしていたもののお腹がすいていたから軽く食べてしまって、おいしいピザを前に後悔。ビール&ピザ最高。そして予想はしていたけど、ジェラートも食べる。おいしい。でもお腹がさすがに限界。ドライブ中やお食事中にサルデーニャ島のことをやたら聞いてくるなといぶかしく思って、よくよく話をきくと、どうやらイタリア嫌いらしい。イタリア統一で弊害がないはずはないけど、「わたしたちは侵略された」と強い言葉を選んだぐらい苦々しい気持ちでいるようだ。オーナー夫妻が話しているサルデーニャ語も統一直後は話すことを禁止されていたらしく、どこにでも植民地思想は根付いているのだなとうんざりした。

帰宅後はうとうとしながらシャワーをあびて、うとうとしながらなんとかドライヤーをかけて就寝。生乾きだったおかげで次の日の髪型がひどいことになっていた。

 

23.

午前中はラットの脳をスライスする過程を見せてもらった。計5つの脳が薄くなりました。薄すぎて丸まって細いパスタみたいに。そして午後は全部ラスト!ラスト昼ご飯、ラストコーヒーブレイク。悲しい!最後はみんなで写真を撮ってさよならの嵐。Baci(キスする挨拶)はちょっと…といったら遠慮してくれた。最後にラスト夕食づくり。冷蔵庫はほぼ空。サルデーニャ、来れてよかったなあ。

 

24.

部屋の大掃除をし、ローマでのホステルの予約を済ませる。そして魔の荷造り。来た時から何も買ってないのになぜか荷物増えてる…??荷物、成長したんか??昼から街中へ。ヨーロッパ一美しいと言われている海岸線にようやく行くことになった。確かにとても広いビーチで道も舗装されていて、イタリア人に生まれていたら通いそう。もちろん日本人たる私は、海辺のバーで時間をつぶす。街中に帰ってきてもジェラート屋さんだったりカフェで時間をつぶす。だんだんバカンス客の態度が身についてきたぞ。

夕方は街を一望できる場所でアペリティフをご一緒しましょうと言ってきたカリアリ大生とそのお姉さんとともにチルアウト。今後一度は言ってみたいセリフに「アペリティフご一緒しましょう」がランクインした。スピリッツを軽く飲み、夕陽を見送った後は彼のご両親とともにピザ。一人一人の個性をみんなでカバーしあっていて、すごくバランスのとれたいい家族だった。サルデーニャ島で出会ったみんなと別れるのがあまりにも寂しい。帰宅後は荷造りの続き。1時過ぎには就寝。

 

25.

6時半に起きて、なんとかタクシーに滑り込み空港へ。ついに!さらば愛しのサルデーニャ!フライトは遅れるでもなく揺れるでもなくスムーズで、午後にはローマに到着。そしてめっちゃ古い建物の中のホステルにも到着。ここのエレベーター古すぎて笑えるから誰か見てほしい。