日々

生活とその周辺

サルデーニャ島 激闘アシアナ航空編

サルデーニャ島(中心街はカリアリ)に研究室配属して来た。夏の記録。

 

 

二日酔いをかかえた身体をひきずって宮交シティから福岡行きのバスに乗る。日本を離れていく余韻に浸る暇もなく、気持ち悪さに支配されひたすら揺れに身をまかせる。ジャパニーズビール・ジャパニーズウィスキー飲みおさめ会とかするんじゃなかった。若干の遅れを伴って、博多駅着。博多に土地勘のある子が一緒だったので、すんなり福岡空港行きの電車に乗り換えることができた。ありがとう!チェックインしたあと、比較的あっさりとした博多ラーメン(高菜のせ)を食べ納めし、諸々の人たちにメールを送って仁川へ。

 

仁川に定刻通り到着。空港の大きさに圧倒される。なかなかTransferカウンターがみつからず苦労した。免税店をしり目に、休めるホテルを目指す。しかし、なんと満杯…。みんな考えることは同じか。しかたなく、仮眠スペースでベットのような寝椅子を確保。交代でシャワーをあびる。ドライヤーや歯磨きセットは係の人がいれば借りれるみたい。タオルは有料。至れり尽くせり仁川空港。数年前に上海の空港で8時間トランジットを硬い空港の椅子の上で過ごしたことを考えると、もう実家のような快適さ。冷房の効きすぎていることと、いびきをかきすぎている人がいたこと以外は、翌朝10時ぐらいまでなかなか快適に休むことができた。スタバでコーヒーをつかみ、搭乗口へ。ここから問題発生する。

 

わたしたちが搭乗ゲートに到着したころには、定刻通りの登場時刻が記載されていた。しかし、搭乗10分前になって2時間DELAYの放送が…。機材遅れが原因らしい。もっとはよ言うてくれ。さらに30分後に3時間遅れの放送がかかり、お食事券を配布しだすスタッフ。怒鳴り散らす一部搭乗客。殺伐とした雰囲気が広がるものの、大部分の人は列に並び粛々とお食事券を受け取る。次のフライトであるローマ→カリアリの飛行機は半ばあきらめモードに突入。とりあえずビビンバを食べ、自分のご機嫌をとる。あとはKindleでロングフライト用の本の選別とダウンロード(塩野七海「イタリアからの手紙」「ルネサンスとは何であったのか」、ロダーリ「猫とともに去りぬ」)をしていたら15時になり、搭乗開始。飛行機にのった後も中国上空の天気がまずかったみたいで、30分ほど待たされる。そして総計、四時間とちょっと遅れで離陸。大遅刻やでアシアナ航空!!

 

ちなみに二回ほど機内食がでて、一回の軽食が提供されたけれど、栄養摂取の域をでませんでした。ドリンクのメニューも普通。しかし、CAさんはみな美人。わたしは飛行機では寝れない人なので11時間半の機内生活では本を読む以外は、グレイテストショーマン、レディバード、ベビードライバーなどを見ていた。

 

結局ローマについたのは、20時47分。長い長い入国審査の列に並ぶ。気を抜いていたら後ろの人に抜かされるので、なるべく前の人との間隔をつめる。近くにいた韓国人が割り込み被害にあったみたいで、さっそく抗議をしていたが、みていた別の人に“It’s Italy!!”とヤジられてみんな笑っていた。そうか、イタリアについたんだ。

 

21時発のカリアリ行きの乗継便はもちろん間に合わない。怒りをぶちまけたいアシアナ航空の窓口もあいていない。陳情にうかがったアリタリア航空の職員さんたちも塩対応。我々に責任はない、払い戻しはできないの一点張り。せやけど!!そこをなんとか!と縋り付いても職員さんはめんどくさそうに首を横に振るのみ。態勢を整えなおさなければ精神がやられそうだったから、空港2連泊をあきらめて二人でホテル泊を決意。きっと人のお金だし(保険保障費)、ヒルトンにでも泊まるかと思ったけれども万一保障が利かない場合を考えてエコノミーなホテルへ。空港出口に控えているタクシーの呼び込みをかわしたり、交渉したりしてさらに体力が削られる。カリアリ遠いよ…。ホテルについたら、受付のお兄さんの元気なウェルカム(「ジャポーネ?!」「暗殺教室めっちゃ好きなんだよ!このYouTubeみて!」「友達でコスプレーヤーやってる人がいるんだけど、この人知らない?」)を受けてありがたかったけれども、一刻もはやく部屋に入りたかった。

 

朝8時にホテルを出発。空港のインフォメーションで憎っくきアシアナ航空の所在地をきいてみたら、夕方にならないと窓口はあかないと言われる。直接交渉がきかないなら、これはもう、間接攻撃に切り替えるしかない。逃げ切れると思うなよアシアナ。東京海上日動(海外保険)に電話し、ホテルと食費はなんとかなるみたいだとわかって安心する。さすがわたしが就活で受けた会社。落とされたけど。アシアナからもメールで遅延証明書も送ってもらえた。空港カフェにて代替の航空券を探し、だらだらする。ちなみにイタリア初カルボナーラもいただきました。

 

とりあえず荷物を預けようとチェックインカウンターに並ぶも、列は一向に進まない。うしろのジェノヴァにいくというアメリカの金持ちマダムが”Their service is a disaster”と愚痴ってきた。確かに、お昼の時間だったからか乗客そっちのけで休憩に行く職員がちらほらいる。窓口の数も圧倒的に少ない。これがイタリアか。それでもしばらくすると、わたしの順番がきて、ようやくチェックインが終わる。

 

早めに搭乗口に行ったら、搭乗口変更のアナウンスが鳴り、嫌な予感がしたが、案の定出発遅れが言い渡される。言葉にならぬ脱力感。ここでも足止めか…。仕方ないので、チョコレート売り場やゲート近くにいるラテン系美女と美男をみつめて癒される。搭乗客を見渡すと、さすがにヨーロッパの高級リゾート地だけなことがあって搭乗する人々は子どもを含め、みな小ぎれいである。バカンスに行く人々独特のふわふわした空気が漂っているので、まあ、一時間半ぐらい待つかとさして悲壮感もなく座っていることができた(乗継便が控えていないからかもしれない)。搭乗アナウンスが流れると、わたしは26歳以下の学生という特別割引組に属しているので、正規搭乗者とは別の列に並ばされた。同じ列に並ぶほどんどの人はサルデーニャ在住者特別割引を使っていたので、この明らかにサルデーニャ人でないアジア女はなぜここにまぎれているのだ、と不思議そうな目を向けられてしまった。しかし、めげずに我らが大学の在学証明書を握りしめ、並び続ける。ふと列が止まったかと思うと、一人のイタリア人紳士が大仰に天を仰いで、イタリア人サッカー選手が審判に抗議するあの勢いで猛然とごねだした。ものすごい身振り手振り。搭乗ゲートや後ろの柵や近くにいた人にまで同意を求め、とりあえず騒ぎに騒ぐ。整備員の人も搭乗ゲートの係員に加担して、彼を追い出そうとするが、彼は抗議を続ける。そもそもチェックイン時に特別割引が使えるか、職員がちゃんとチェックしとけばいいのにと思わないでもない。そこは自己責任なのか。わが身にも同じ災難が降りかからないか、とどきどきしながら証明書を見せたら、あっさりとOKがでる。よかった。

 

機体に乗り込んで、隣に座っている紳士の座席からはみ出る肉に気をとられていると、なにやら機長室から声が。ドアが開いて、iPadを手にもっている大学生ぐらいの女の子がでてくる。どうやら知りあいみたいで、機長室からの風景を写真におさめていたらしい。さらに「副操縦席に乗っていってもいい?」「乗せていいんじゃない?」と女の子と機長がチーフCAさんに尋ねていたが、断られていた。そりゃそうだ。自由すぎか。ゆるふわムードが漂う中、先ほど大騒ぎしていた男性がにこやかに談笑しながら別のCAさんに誘導されて席に座る。切り替えはやすぎ。無事(?)一時間半遅れでローマを飛び立ち、カリアリに到着した。

 

カリアリはバカンス地らしく、日差しが強い。タクシーを捕まえて宿のある地域へ。ここは田舎度から言うと、スーパーやコインランドリーや小さな居酒屋はあるが、これといった洗練された場所のない、私の住んでるアパートの近所みたいなところである。妙な親近感が芽生える。オーナーのお父さんと娘さんが迎えてくれ、互いにつたない英語で自己紹介を果たす。通されたところは想像以上に綺麗な部屋で、女子ですもの、テンションがぶち上がる。しかし、ベッドがダブル…。「あの、ツインで頼んだはずなんですが…」と言ったら、「あ、やっぱりダブルはだめだったよね」と言って変えてくれることに。はじめからそうしてくれ。父娘が近所を案内してくれた後、お惣菜を買って食べてカリアリ初夜を終える。明日は研究室だ。